OTO ZONE

また、会いましょう

2011年7月25日

東日本大震災から、4ヶ月半が経ちました。震災直後、僕は被災地に
駆けつけ、炊き出しや瓦礫撤去といったボランティアができないことに
もどかしさを感じていました。こんな僕が行っても、むしろ迷惑をかける
だけだろう、と。

けれど、震災から一ヶ月ほどが経ち、食糧や生活に必要最低限の
物資が届きはじめたという報道を見て、僕のなかで少しずつ心境に
変化が起こりはじめました。

次に重要なのは、被災地の方々が、「もう一度、希望を捨てずに
生きていこう」と前向きな気持ちを取り戻していくことではないか。
そして、そのためのお手伝いなら、僕にも何かお役に立てることが
あるのではないだろうか、と。

そんな気持ちから、五月上旬、僕は被災地へと向かいました。
破壊された街並み。大切な人を失った悲しみ。訪れた地では、
想像以上に胸を締めつけられる場面が多くありました。

でも、それと同時に、希望を失うことなく、前を向いて歩み出した
勇敢な人々と出会うこともできました。彼らは、本当に輝いていた。
だから、僕は新刊のタイトルを『希望 僕が被災地で考えたこと』
しました。

そして、僕がいちばん頭を悩ませたのは、そうした被災地の人々と
別れるとき、どんな言葉をかけたらよいのだろうか、ということでした。
難しいことだとわかっていながらも、相手の立場を慮ってみる。
それでも、なかなか答えの出るものではありません。

「頑張ってください」「頑張りましょう」「元気を出してください」――
どれも、僕のなかでは、しっくり来るものではりませんでした。

結局、僕が選んだのは、「また、会いましょう」という言葉でした。
苦しい状況のなか、少しでも未来を感じられる言葉にしたかったから。
未来に光を感じてほしかったから。「また、会いましょう」と。

東京に戻ってきた僕は、「あの言葉を口約束にだけはしたくない」と、
ずっと思っていました。そして、その約束を果たす日がやってきました。
今日から、また被災地へ行ってきます。
今回は3日間しか確保できなかったので、訪れる場所も限られて
しまうと思うけど、僕なりの、僕だからこそできることを意識しながら、
3日間を過ごしてきたいと思います。

また、ご報告させてください。僕が感じたことを。
※前回訪問時の活動詳細については、楽天イーグルスでの始球式
石巻での特別授業の様子も含め、『希望 僕が被災地で考えたこと』
詳しくあります。ぜひ、そちらをお読みいただければと思います。


なでしこJAPAN・澤穂希選手 「不幸」の烙印を押さないで
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