ピントの合わせ方
数日前、僕の事務所で働いてくれているマネージャー君が、
うれしそうに話しかけてきた。
「何かひとつ趣味でも持とうかと思って」
なんでも、思い立って一眼レフカメラを購入したらしい。
今朝のことだ。約束の時間よりも早く目的地に到着した車内で、
説明書を片手に、パシャパシャとやっている。
「あ、なるほど。こうやってピントを合わせて…」
フロントガラスに付着した水滴にピントを合わせ、パシャリ。
「今度は、あっち側に…」
窓ガラスの向こうに広がるビルや信号にピントを合わせ、パシャリ。
「うわあ、面白い。全然ちがうなあ」
新しいおもちゃを手に入れた子どもみたいに、笑顔がはじけてる。
あれ。
え。
ちょっと、俺にも見せてよ。
1枚目と2枚目。
全然、ちがう。
同じ場所で、同じ角度でカメラを構えたのに、
液晶に映っているのは、まるでちがう景色。
ハッとした。
こういうことなんだ。
たとえば、原発。
「一刻も早く運転停止し、代替エネルギーへの転換を」
「いや、安全対策を万全にして、やはり原子力でいくべき」
見えている事象は同じ。
提供されるデータ・数字も同じ。
それでも、それぞれの意見が異なり、ぶつかり合っているのは、
こうしてピントを合わせている場所がちがうからなんだろうなって。
原発だけじゃなくって、きっと、すべてがそう。
そんな、ごく、当たり前すぎることに、いま一度、気づいた朝。
明日から、“水先案内人”として、5日間、ピースボートに乗船します。
きっと、様々な価値観や経験を持った方々が乗船されることでしょう。
僕の焦点とは、またちがう焦点で物事を捉え、考えている方々との
語らいを、いまから楽しみにしています。
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