OTO ZONE

心のフィルター

2010年12月22日

Twitterで何気ない行動をつぶやくたび、
「乙武さん、○○はどうやってするの?」という質問が相次ぐ。

「食事に行った」と書けば、「どうやって食事を?」
「カラオケに行った」と書けば、「どうやってマイクを?」

それも少数派ではなく、かなり多くの質問ツイートが届く。
べつに、僕はこうした質問を受けることが苦ではないし、
できるかぎり答えていきたいとは思っている。

先日も、「どうやってシリーズ」と題して、みなさんから
多く集まる質問に、写真付きでお答えしたばかりだ。
ただ、そうしたみなさんからの質問に、ひとつ引っかかることが。
「その質問、あなたは面と向かってもできますか?」
実生活でも、仕事・プライベートを通じて様々な方とお会いするが、
上記のような質問を受けることはほとんどない。

聞いてくるのは、子どもか、よっぽど無邪気なキャラの人だ。

じゃあ、なぜ大人は聞いてこないのか。
「そんなこと聞いたら、失礼かな…」
おそらく、障害のある僕を目の前に、そんな意識が働くのだろう。

もちろん、僕に何度かあったことがある友人・知人であれば、
僕がどうやって身の回りのことをするのか知っているだろうから、
「どうやって…」という質問をする必要がないのはわかる。

でも、初対面の方や、講演会での質問タイムでも、
「どうやって…」と聞かれることは、まずない。
おそらく、そこには“遠慮”があるのだろう。
なのに、それがTwitterとなると、多くの方から、
「乙武さんは、どうやって…」という質問が多く寄せられる。
なぜか。
そこに、「顔が見えないから、いいか」という意識はないだろうか。
面と向かってなら気を遣って言わないようなことも、
ネット上で、顔の見えない相手ならば言えてしまう。

つまり、「こんなこと言ったら、失礼かな…」というフィルターが、
ネット上ではいとも簡単に外れているように感じるのだ。
さっきも書いたように、僕はこうした質問を失礼だとは思わない。

ただ、気軽なやりとりだからこそ、相手との距離感を見誤り、
相手がこのコメントを読んだらどう思うだろうという配慮を欠くと、
いとも簡単に相手を傷つけてしまうのではないかと思ったのだ。

便利で、手軽に楽しめるインターネットだからこそ。

「心のフィルター」、いま一度、確認してみませんか。
僕も、自戒の念を込めて。


内川選手&長野アナ 武田双雲さん
内川選手&長野アナ
武田双雲さん
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