OTO ZONE

愛しい君へ

2010年11月9日

深夜に、泣きながらこの文章を書いています。

君が亡くなったというニュースを聞いたときも、胸が詰まる思いでした。

だけど、今日は、今日のニュースは、また違う種類の悲しみを、
僕の胸に届けるものでした。
「いじめと自殺の因果関係は認められない」
僕にとって、それはあまりに衝撃的な言葉でした。

校長先生は、どんな思いでその言葉を口にしたのかな。

いじめた子どもたちに、心の傷を残さないための配慮だったのかな。

担任の先生だけに、責任を負わせないための配慮だったのかな。

僕たちにはわからない“何か”を守るためのものだったのかな。

君の笑顔は……少しでも頭のなかに思い浮かべてくれてたかな。

 
遺書は、なかった。

 

この事実がわかったとき、彼らはどんな思いだっただろう。

ひとりの尊い命が奪われてしまったという事実も忘れ、
ホッと胸をなでおろしていたんじゃないか。

僕には、そんな気がしてならないよ。
もしかしたら、やさしい君は、そんなこともわかっていて、
何かを言い残すことなく旅立ってしまったの?

でも、それはきっと間違いだよ。
そんな君のやさしさを、まわりはただ利用しているだけ。
「いじめが直接的な原因かはわからない」
また、涙がこぼれてきた。

悔しいよ…。
救ってあげることができなかった自分の不甲斐なさを、
鋭い痛みとともに、強く、強く感じています。
かけがえのない命を失わせてしまった。
君のような苦しい思いで、この世を去っていく子どもが、
一人でもいなくなるように――。
僕にできる精いっぱいのこと、力を尽くしていくからね。
乙武洋匡


馬上からの景色 楕円形に夢を乗せて
馬上からの景色
楕円形に夢を乗せて
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