OTO ZONE

Monthly Archives: 9月 2010

武田双雲×乙武洋匡『教育対談』 on Twitter①

先日、書道家・武田双雲氏の呼びかけにより、 Twitter上で『教育』をテーマとした対談を行わせていただきました。 「えっ、興味があるのに見逃してしまった!」という方のために、 この「OTO-ZONE」でも対談をリライトした上で再掲載! 双雲さん、あらためてありがとうございました(^O^)/ では、ふたりの熱~い議論をたっぷりお楽しみください♪   双雲:乙武さーん、すみません、思いつきですが、ツイッター上で、 「教育」について対談してみませんか。 乙武:双雲さん、ぜひやりましょう! 双雲:わお。ツイッターならではのスピード。ありがとうございます! こ、こほん。では乙武さんのお言葉に甘えて、突如、乙武 洋匡×武田双雲のツイッター教育対談を行ないます。僕から勝手に質問を投げさせてから、のんびりやりとりを。空き時間に気まぐれな感じで。140字と限られているので失礼にとれる文章もあるかと思いますがご容赦下さい。 乙武:了解!のんびり、ゆっくり語り合いましょう(^O^)/ 双雲:では、早速。乙武さんはどんな子どもでしたか? 乙武:とにかく、負けず嫌い。やっぱり、他の子と比べてできないことが多い。でも、「何くそ!」という生来の負けん気が僕を後押しし、みんなと同じように、もしくはそれ以上にやってやろうと、いろいろなことにチャレンジしていました。 双雲:なるほど。僕は長男でぬぼーって感じで、ナニクソパワーで動いたことはないタイプですが、ほんとは負けず嫌いが奥底にあるのだと思います。大人に「歯をくいしばって、悔しさをバネにがんばれ」と言われたのが嫌ということもあり。 乙武:誰しも、自分のキャラではない頑張り方を強要されるのはしんどいですよね。「○○君のように頑張れ」は、その子を応援しているようで、じつは追い詰めていることもあると思うんです。「○○君のように~」は、とくに兄弟間で比較して、親がどちらか一方に言ってしまう言葉のように思います。その点、僕は一人っ子だったから救われた部分もあるのかも。ふたりの息子を持つ父としては、そのあたり気をつけないと。 双雲:同感です。ただ、僕の子供は上が男で下が女だから、そこらへんの差別感はあまりないかも。でも、「つい男なんだから」とか言ってしまってよくないなぁと反省してます 。ちなみに、僕は男三兄弟の長男。弟は学校でも僕と比較されて辛い思いをしたと思います。乙武さんは一人っ子で辛いと思ったことはありますか? 乙武:うちは両親が非常に仲良く、ラブラブ(!)だったので、家族旅行のときなどはちょっとした淋しさを感じていました。でも、それが「自分も早く結婚して、家庭を持ちたい」という思いにつながったのかも。 双雲:なるほど。では、乙武さんは親にどんな言葉をかけられましたか?また、それをどう思っていました? 乙武:とにかく褒められて育ちました。生まれた時点で、「この子は一生寝たきり」というあきらめが親にあったから、寝返りをうっても、起き上がっても、それだけで「すごい!」となったそうです。 ほとんどの親は「健康に生まれてきてくれたら、それで十分」と願っていたはずなのに、いざ育ってみると、「あれがダメ」「これも不十分」と、あれこれ欲が出てくるのでしょうね。 双雲:なるほど!僕もなぜか両親に褒められて育ちました。会社辞める相談を父にした時に「どっちにしろお前の決断を全面的に応援する」と言ってくれました(T_T) 乙武:ステキなお父様ですね! 双雲:では、叱り方についてはどうでしょう?僕の母は叱り方が上手いほうだったと思います。人に迷惑をかける行為に関してだけ短く勢いよく、行為だけを叱る。さっぱりと明るく。乙武さんは叱り方についてどういうスタイルですか? 乙武:叱り方か……うーん、難しいですね。小学校で担任していて感じたのは、叱り方に「正解はない」ということ。子どもによって、いやもっと言えば、同じ子どもでもタイミングによって、その効果が違ってくるなあと。だから、教員としてはなるべく叱り方の引き出しを増やし、個々時々に適した叱り方を選択することが大事かなと。 双雲:同感。書道教室で10年間子供たちと本気で触れてきて、机上セオリーは全く通じないことを知りました。 乙武:「~すべき」で通用するなら、指導もずいぶんラクですよね。わかっていても、やらかしてしまう子、繰り返してしまう子に、どう伝えていくか。やはり、そこに“正解”はないように思います。落語家・柳家花緑師匠が、こんなことをおっしゃっていました。「弟子が師匠」と。物覚えも悪く、頑固で素直に言うことを聞かない弟子に教えるときほど、自分自身がよく考えるようになるし、結果として本質に近づくことがある、と。 双雲:なるほど。では、ご自分のお子さんに対しては? 乙武:うーん、わが子だとどうなんだろう。いまのところ、息子が好ましくない行動を取ったときは、とても悲しそうな顔をしてみせています。 双雲:では、次の質問。人と本気で触れ合うほど、心の柔らかさが必要だと感じますが、乙武さんは教育現場に入る前と入った後で、一番価値観が変わったことは何ですか? 乙武:家庭の大切さ、ですかね。家庭が安定せず、子どもが落ち着いて学習できる環境が整えられていないと、学校でいくら素晴らしいカリキュラムを組み、いい授業をしたところで、あまり意味がないと思うんです。実際、「友達を叩く」「忘れ物が増える」などの問題行動が急激に顕著になった子どもの原因を探っていくと、「家族の入院などの事情から、急に家族が留守がちになった」「両親の仲が悪くなり、毎晩のようにその子の前で夫婦ゲンカが繰り広げられるようになった」など、家庭環境の変化による場合がほとんどなんです。 双雲:興味深いですね。 乙武:だから、「うちの子は勉強しない」と嘆く保護者の方々には、まずご家庭がその子にとって自分らしくいられる、心安らぐ場所となっているかどうかを再確認していただきたいなあと切に思うのです。 双雲:なるほど。家庭に心安らぐ場所があれば、ということですね。 乙武:僕は「怠けられる場所」の確保って必要だと思うんです。じゃないと、子どもはパンクしちゃう。 双雲:同感。僕の教室は、不登校の子でも休まず怠けにきます(笑)。「怠ける」って「がんばる」と同じくらい大事だと思います。 乙武:きっと、双雲先生のお教室は、子どもたちが自分らしくいられる、居心地のいい場所なんだろうなあ。ぜひ一度、おうかがいしてみたい。 双雲:ぜひ怠けにいらして下さい(笑)。さすがに電子ゲームは禁止にしましたけどf^_^; 乙武:それまではOKだったんだw(°O°)w 双雲:先ほど、「家庭を心安らぐ場所に」というお話がありましたけど、そのためには親自身がゆとりをもたないとですね。 乙武:たしかに、その通りですね。でも、経済的、その他の理由で、なかなか大人にもゆとりがない。そう子どものそばにばかり寄り添っていられない事情もあると思うんです。そのときは、意識的に示してあげてほしいんです。「愛してる」と。言葉で、態度で。不安に思っている子どもに、ぜひ自己肯定感を与えてほしい。 双雲:僕の生徒さんのなかには、子供が愛せなくて苦しんでいる方もいます。たとえそうでも、せめて抱きしめてほしい。 乙武:そう。抱きしめることでも、十分に伝わると思います。もちろん、家族からの愛を受けられるのがベストですけれど、現実は悲しいことに、そうした幸せに恵まれる子ばかりではない。なかには、「親に褒められなかった」「愛されなかった」と感じて育った方もいる。 双雲:そうした深い闇を見てきた方々には、僕らがどんな言葉を並べても薄っぺらく感じるかもしれません。それでも、自己肯定感は自分自身の習慣を変えることで成長すると信じていますし、僕はそうやって自分を変えてきました。少しずつ 。そして、僕らだからこそ開ける何かがあると信じて発信し続けたい。 乙武:僕は、そのために教師になったと言っても過言ではないんです。親の次に子どもたちの近くにいる教師という立場で、愛を伝えていこうと思った。親の代わりにはなれないけれど、「君のことが大切だ」と伝えていこうと。 双雲:幸せな生徒さん達ですね! 乙武:ただ、幸いなことに、 僕のクラスの子どもたちは、みんな親に愛されていた。でも、その愛がうまく伝わっていないケースもあった。それは「照れ」だったり、「言わなくてもわかるでしょ」という思い込みだったり。だから、僕は親から子へ手紙を書いてもらったんです。その手紙を読んだ子どもたちは、みんな大号泣。「こんなに大切にされてたんだ…」って。 双雲:それは、すごい! 乙武:僕より勉強を教えるのがうまい先生はいくらでもいたし、僕より子どもを楽しませることが上手な先生もたくさんいました。でも、僕は子どもたち一人ひとりがかけがえのない存在であることを伝え、自分を大切に思う気持ち=自己肯定感を育むことを、教師として、何より大切にしていたんです。そして、そんな授業も何度もしてきた。 双雲:いったい、どんな実践を? 乙武:その記録が新刊『だいじょうぶ3組』に詰まっています。小説の形式ではありますが、そのほとんどが生のエピソード。僕の教育実践なんです。「みんなちがって、みんないい」。そのメッセージを伝えるのに、僕の体は何より便利にできていたし、自分の存在に不安を抱いている子がいれば、僕は必ずこう声をかけました。「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ」――だから、新刊のタイトルは『だいじょうぶ3組』としたんです。 双雲:なるほど。乙武さん、今日は本当にありがとうございました。もしよかったら、明日ものんびりおつきあい下さいませ。 乙武:知らず知らずのうちに、自分でも熱くなっていました。こうして教育について語るきっかけを与えてくださった双雲さんに、深く感謝いたします。また、明日も語り合いましょう! 双雲:僕も熱くなってしまいました。乙武さんの言葉に、僕の身近な人たちも心射たれています。乙武さんにも、みんなにも感謝の気持ちでいっぱいです。それでは、おやすみなさい。 【②へ続く】


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